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ゴルフ会員権 Q&A

会員制度 - 預託金会員制クラブとは何ですか?

ゴルフ場の運営制度は、会員を集めて専らその会員の利用により運営している会員制、優先利用権を持つ会員制などの制度を全く設定せず一般に広く開放しているパブリック制、基本的にはパブリック制ながら一般よりプレー料金が安くなるなどの会員制を併設しているセミパプリック制(ほとんどありません)に大きく分けられます。そしてこのなかで、会員制(セミパブリック制の会員部分も含む)のゴルフ場は、運営形態により社団法人会員制、株主会員制、預託金会員制の3種類に大きく分けることができ、その制度導入を時間の流れからみてみると、大雑把ではありますが古いものから社団法人会員制 → 株主会員制 → 預託金会員制となっています。

預託金会員制クラブとは、ゴルフ場を造るときに行う新規会員募集の際に、新入会者が一定の金額をゴルフ場に預けることにより優先的利用権を得る、つまり会員となるゴルフ場のことです。この預けたお金のことを預託金といい、ゴルフ場によって多少異なりますが「10年間(〜20年間程度)ゴルフ場が預かりその後退会した場合に返金する」、「預けている間は会員としてプレーできる」、「預託金は無利子とする」といった条件がついています。この制度により、ゴルフ場はコース造成費用を着工前に捻出することができました。なお、現在は法律によりコースが完成する前の会員募集は原則として禁じられ、造成前に募集する場合は一定の保証金を積むことが必要になっています。

預託金会員制の会員募集の際にゴルフ場に支払う金額は、通常、払い切りとなる入会金と期間経過後に返してもらえる預託金とに分けられています。募集方法は、まず「特別縁故募集」等の名称で募集を開始し、その後「一次募集」、「二次募集」・・・と募集を区切りながら、募集金額(入会金 + 預託金)を段階的に上げていくのが一般的です。昔は、コースがまったくできていない机上の計画段階で募集が開始され、その後コース造成の進行と並行して募集金額も上昇するといったかたちが採られ、初期の募集は金額が低いものの(ゴルフ場ができるかどうか等の)リスクが大きく、後半の募集は金額が大きいもののリスクは小さい、という内容で募集を進めていました。その時々の景気等にもよりますが、昭和のゴルフ・ブームのときには新聞広告を出すと一日で募集定員に達したこともあり、多額の入会金と預託金を集めることができたようです。

預託金会員制ゴルフ場では、株主会員制とは異なり会員がゴルフ場の経営に直接関与することはできません。会員は理事会やその傘下の委員会(ハンディキャップ、エチケット、競技、フェローシップ等々)においてクラブの運営について協議し、経営会社と話し合いながらゴルフ場を運営していく形態となっています。理事や委員は会員総会等で選出したり経営会社が特定の会員に依頼したりしますが、ゴルフ場により異なるものの株主会員制と比較すると経営に対する権限は低いと考えられており、どちらかと言えば会員主体ではなくゴルフ場経営会社に有利な制度であると言われています。ただし、有利といっても会員を尊重した運営をしているゴルフ場経営会社は多く、どちらかと言えば委員会参加等を煩わしいと思われる方が多い現在は、円滑なクラブ運営に適した制度とも言えるのではないでしょうか。

前述の、ゴルフ場に預けたお金を返してもらう権利のことを預託金返還請求権などと言い、全ての会員はその権利を保有していることになります。預託金会員制ゴルフ場に会員として入会するためには、この預託金返還請求権を前会員から引き継いで入会することになりますが、ゴルフ場の規約上、入会申請し承認を得ないと請求権を引き継ぐことはできません。ゴルフ場を会員として優先利用できる権利と預託金返還請求権はセットで、つまり預託金会員権の売買とはこのセットを売買しているということになります。よって、ゴルフ場に退会申請し預託金を返還してもらうということと、退会して会員権を他の人に譲渡(売買)するということは、同じ「退会」であっても預託金の取扱い面から見て内容が異なります。例えば退会して預託金を返還してもらい、会員権(会員として優先利用できる権利)のみを他に売却する、ということはできません。ただし、以上の内容はゴルフ場の規約によるもので、法律上は一部条件下では預託金返還請求権のみを分離できるという解釈が出ています。また、最近は入会(名変)預託金(別項参照)という制度が導入されていますが、これは入会(前会員から会員権を譲受)時に入会者がゴルフ場に預託し退会(他の人に譲渡)時に返却を受ける預託金のことで、ここで説明している預託金とは別のものです。

預託金会員制は比較的近年に多くのゴルフ場が導入し、国内のほとんどのゴルフ場が預託金会員制となっています。以上の説明のとおり、この制度は一定期間経過後に預託金を返すことが前提となっていますが、集めた預託金はゴルフ場を造る費用として使用しており、10年程度の期間でその使用金額をゴルフ場の営業により補填することはほとんどの場合不可能です。実は導入当時、この制度は預託金を返還しなくて済むという観点で考えられていました。当時は新規会員募集をするとすぐに会員が集まり、また必ずと言っていいほどその後のゴルフ会員権市場での相場金額が会員権の預託(募集)金額よりも高くなったため、預託金の返還請求は発生せず、退会する会員は市場で会員権を売却すると考えられていました。ところが会員権相場の下落により相場金額と預託金額が逆転し、会員から預託金返還請求が発生するもゴルフ場は返還に応ずることができない、というのが問題とされている預託金返還(償還)問題です。昔に募集を行った預託金額が低いゴルフ場についてはこのような問題は発生していませんが、バブル時などに高額の預託金額で募集したゴルフ場にとってこの問題の解決は重要課題であり、会社更正法や民事再生法の適用、株主会員制への移行などいろいろな策が講じられています。

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